双極性障害かバーンアウトか|波で見分ける、診断の難しさ

朝、起きられない日がありました。

仕事が嫌なわけでもない。前の日に何かあったわけでもない。ただ、体に錘が入ったみたいに動かないんですよね。

こういうとき、たぶん多くの人は「燃え尽きたのかな」と思うんだと思います。私も20代最初のころはそう思いました。バーンアウト、つまり燃え尽き症候群。働きすぎて、心のエネルギーを使い切ってしまった状態。

でも、私の場合はそれだけでは説明がつかなかった。今日はその話を、双極性障害の「波」の側から書いてみます。結論から言うと、バーンアウトと双極性障害はよく似ていて、だからこそ医師は簡単に線を引かない、という話です。

目次

バーンアウトと双極性障害は、なぜこんなに似て見えるのか

どちらも「燃え尽きて動けなくなる」

そもそもバーンアウトというのは、1970年代にアメリカの心理学者フロイデンバーガーが提唱した言葉だそうです。熱心に取り組んでいた人が、ある日ふっと火が消えるように意欲を失う。研究の世界では「情緒的消耗感」「脱人格化」「個人的達成感の低下」の三つで説明されるみたいです。

この説明を読んだとき、正直ぞっとしました。私の「うつの底」と、ほとんど同じだったから。

心がすり減って何も感じない。人に優しくできない。自分は何の役にも立っていない気がする。並べてみると、双極のうつ状態とバーンアウトは、見た目がほとんど一緒なんですよね。

私のうつの底と、燃え尽きの見分けがつかなかった頃

このときの動けなさについては【脳疲労/うつの底の記事】でも詳しく書きました。当時は、燃え尽きと波の区別なんて自分ではつかなかった。

ここが、たぶん入り口の落とし穴なんだと思います。

医師が診断を急がない理由を、波の側から考えてみる

ここからが本題です。なぜ医師は、すぐに「双極性障害です」と言わないのか。調べてみると、理由はわりとはっきりしていました。

「うつ状態」で受診すると、双極性障害は見えにくい

人が病院に行こうと思うのは、たいてい落ちているときなんですよね。

ハイなときは、本人は調子がいいと思っているから受診しない。双極性障害が最初にうつ状態で始まった場合、その時点ではうつ病と診断するしかない、ということらしいです。医師の前に現れるのは「うつの私」だけ。波の片側しか見えていない状態で、いきなり「これは双極だ」とは言えない。

そう考えると、慎重になるのは当たり前な気がします。

だから月経前症候群の疑いを潰したわけですが。

軽躁や混合の波は、本人も気づけない

もうひとつ厄介なのが、軽躁。

派手な躁ならまだ気づかれるけれど、ちょっと調子がいいくらいの軽躁は、本人も周りも見落としやすいそうです。とくに双極II型に多い軽躁状態は、患者も医療者も見落としやすいことが大きな問題になっているとされています。

私もそうでした。軽躁のときは「今日は調子がいいな」としか思っていない。まさかそれが病気の片割れだとは思わない。だから医師に「最近やたら元気な時期がありました」なんて報告しない。報告しないから、波の存在が伝わらない。このあたりの感覚は【軽躁・混合状態の記事】でも書きました。

これは、バーンアウトには無い要素です。燃え尽きには「上がりすぎる相」がないので。

診断を間違えると、薬で波が荒れることがあるらしい

そして、これがいちばん慎重になる理由なんだと思います。

もし双極性障害を「ただのうつ」と見て治療を進めると、場合によっては躁状態への移行(躁転)を誘発するリスクが高まると言われています。うつ病だけの治療では、かえって双極性障害を悪化させてしまうことがあるとも。

つまり、急いで診断をつけて、間違えていたら、薬で波そのものを荒らしてしまうかもしれない。薬と波の関係については【双極性障害の薬の記事】にも書いています。だから医師は、時間をかけて経過を見る。焦らないことが、ここでは安全側に倒すことになるんですよね。

当時は「なんで早く診断してくれないんだろう」とモヤモヤしていました。

でも今は、あれは月経前症候群の疑いだけじゃなくバーンアウトの可能性も視野に入れていて慎重だったんだなと思っています。

バーンアウトと双極性障害、ひとつだけ違う気がするところ

似ている似ていると書いてきましたが、自分の体感として、決定的に違う気がするところがひとつあります。

バーンアウトは「原因」がわりとはっきりしている

バーンアウトは、WHOの分類でも「雇用や失業に関連する問題」とされていて、あくまで仕事上の現象なんだそうです。2018年にICD-11に追加されたものの、精神疾患の診断名ではない、と。

つまり、原因が外にある。働きすぎた、ケアをしすぎた、責任を背負いすぎた。だから、その負荷を外して休めば、時間はかかっても戻っていきやすい。原因と結果が、線でつながっている感じがします。

双極の波は、理由がなくてもやってくる

一方で、双極の波は、理由がなくても来るんですよね。

何も悪いことが起きていない。むしろ穏やかな日が続いている。それなのに、ある朝ふっと底に落ちている。猫が膝に乗ってくれても、その重みを「重い」としか感じられない日がある。猫との暮らしと病気が地続きになっている話は【猫と病気・暮らしの記事】にも書きました。

ここが、燃え尽きとは違う気がするところです。バーンアウトは「使い切ったから止まる」。双極は「使ってもいないのに、勝手に切り替わる」。あくまで私の感覚ですが、この差は大きい気がします。

結論だけ知りたい人へ|違いの要点まとめ

長くなったので、要点だけ置いておきます。

  • 似ているのは「うつ状態」 :消耗・無気力・何も感じない。ここはほぼ同じに見える。
  • 違うのは「上がる相」の有無 :双極には軽躁・躁がある。バーンアウトには無い。
  • 原因の位置が違う :バーンアウトは外(仕事・ストレス)、双極は内(脳の波)に近いとされる。
  • 医師が急がない理由 :うつで受診すると波の片側しか見えない/軽躁は見落とされやすい/間違えると薬で波が荒れることがある。
  • だから「すぐ診断されない=雑」ではない 。むしろ慎重さの表れ、なのかもしれません。

それでも、自分で答えを出さなくていい

ここまで書いておいてなんですが、自分がどちらなのかを自分で決める必要は、たぶんないんだと思います。

私も、ネットで調べれば調べるほど分からなくなりました。チェックリストを何個やっても、どっちにも当てはまる気がして。気分の波を自分で記録していく方法は【ライフチャート/気分記録の記事】にまとめています。結局それを決めるのは、時間をかけて波を見てくれる人なんですよね。

朝起きられない日が続くなら、それが燃え尽きでも双極でも、しんどいことに変わりはない。名前がどっちでも、休んでいい理由になることは同じだと思っています。

双極性障害になった人が双極性障害のしんどさを持っているように、
バーンアウトになった人もバーンアウトのしんどさをもっている。

どちらも理解されにくいのは同じ。当人にとっては辛いことですけどね。

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この記事を書いた人

「双極性障害」「老猫介護」「ペットロス」「脳疲労」。

このブログでは、
混合状態や在宅生活の中で感じたことを、
猫たちとの暮らしと一緒に記録しています。

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