朝、いちばん最初に私を起こすのは猫です。
私の体調がどうであれ、お腹は空くらしくて、布団の上を平気で踏んで歩いてくる。正直、起き上がれない日もあるんですよね。それでも、ごはんの催促だけは無視できなくて、気づくと台所に立っている。
双極性障害があると、自分の世話さえ難しい日があります。顔も洗えない、お風呂にも入れない日。そういう日に「生き物なんて飼えるわけがない」と思う気持ちは、よくわかる気がします。私もそう思っていた時期がありました。
まあ私一人で住んでいるわけではないので、私がダウンしていたら水をかえてくれたり、ペットシーツを処理してくれたりしてくれるのですが。
ドライフードの配分だけは私がやらないとわからないことなので、どれだけしんどくてもご飯の用意だけはしています。
結論|双極性障害でもペットは飼える。ただし「診断名」では決まらない
先に結論を書きます。
双極性障害でも、ペットは飼えると思います。私自身、猫と16年暮らしてきました。
ただ、「飼えるかどうか」は診断名そのものでは決まらない、というのが正直なところです。決め手になるのは、今の症状がある程度落ち着いているか、生活にリズムがあるか、お金が続くか、そして体調が崩れたときに頼れる人がいるか。たぶん、そのあたりなんですよね。
逆に言えば、ここが整っていないまま勢いで迎えると、自分も動物もしんどくなりやすい気がします。
なぜ「飼えるか」を診断名で考えない方がいいのか
決め手は症状の安定・生活リズム・お金・頼れる人
「双極性障害だから飼えない」ではなくて、「今の自分の状態で、世話を続けられる仕組みがあるか」。
考える軸をそちらに移すと、少し見え方が変わると思います。診断名は変わらなくても、状態や環境は整えられるからです。
躁のときと、うつのときで「世話の崩れ方」が違う
ここは双極性障害ならではかもしれません。
躁っぽいときは、勢いで迎えてしまうことがあると言われています。私も調子が上がっているとき、「もう一匹いけるかも」と思ってしまった瞬間がありました。でも迎えるのは一瞬で、世話は何年も続くんですよね。
うつっぽいときは逆で、最低限の世話さえ重く感じます。闘病中の猫の通院と、自分のド鬱が重なった時期は、いちばんしんどかった気がします。そういう波があることを、最初から織り込んでおくのが大事かもしれません。
ペットを迎える前に、私が確認したこと
お金|フード代より「医療費」が読めない
フード代や消耗品は、毎月だいたい同じです。猫なら5,000〜12,000円くらい、というのがひとつの目安だと思います。
問題は医療費でした。元気だった子が急に体調を崩すと、通院費が一気に膨らむ。末期がんの子を看ていたとき、ここがいちばん読めない出費だと実感しました。だからこそ、迎える前に「最悪のときの備え」を考えておくと、少し気持ちが楽になる気がします。
体調が落ちた日に、代わりに世話を頼める人がいるか
これは、たぶん一番大事です。
「自分が動けない日」は必ず来ます。そのときに、給餌やトイレ掃除を代わりに頼める人がひとりでもいるか。家族、知人、ペットシッター。誰でもいいので、第1候補と第2候補を分けておくと、いざというとき動きやすいと思います。
最期まで看取れるか、を一度だけ真剣に考える
少し重い話になります。
ペットを飼うということは、いつかの「お別れ」まで引き受けるということでもあるんですよね。私は1匹見送りました。苦しかったし、簡単には立ち直れませんでした。
新しい子をお迎えするまでの1週間。私は泣きに泣きましたからね。
それでも、迎える前に一度だけこのことを考えておいたのは、無駄じゃなかったと思っています。
いきなり迎えない、という選択肢
いきなり「家族として迎える」前に、試せる方法があります。
- 保護団体の預かりボランティアを経験してみる
- 知人のペットの世話を、短期間だけ手伝わせてもらう
- 短時間の預かりサービスを使ってみる
これなら「自分の生活に、本当に組み込めるか」を、責任の重さを抱えきる前に確かめられます。相性を見る、くらいの軽い気持ちで始めてもいいのかもしれません。
波があっても世話が続く「仕組み」の作り方
世話を生活リズムの軸にする
これは、飼ってみていちばん実感したことです。
起床・給餌・就寝の時間をなるべく固定すると、生活リズムそのものが安定しやすい気がします。私の場合、猫のごはんが「起きる理由」になっていました。自分のためだと起きられない日でも、猫のためなら布団から出られる。そういう日が、わりとあるんですよね。
うつのときの「最低ライン」を先に決めておく
完璧な世話を目指すと、たぶん続きません。
「うつのときはこれだけやればいい」というラインを、元気なうちに決めておく。ごはんと水とトイレ掃除だけ、とか。それ以外は誰かに頼ってもいい、という形にしておくと、世話が途切れにくくなる気がします。罪悪感は、いったん横に置いておいていいのかもしれません。
躁のときは「決め打ち」でブレーキをかける
躁っぽいときは、逆に「増やしすぎない」工夫が要ります。
新しい子をもう一匹、高価なグッズをまとめ買い。勢いでやりたくなるんですよね。なので「やることは決め打ち」「新しい習慣は増やさない」と、あらかじめルールにしておくと安全だと思います。
猫と犬、双極性障害と相性がいいのはどっち?
どちらにも良さがあるので、一概には言えません。
ただ、組み立てやすさで言うと――
- 猫:在宅中心で、体調に合わせて負担を調整しやすい
- 犬:散歩が必須なぶん、予定が固定されてリズムが整いやすい。ただし体力は要る
私は猫を選びました。動けない日に「散歩に行かなきゃ」が重すぎたからです。でも、外に出るきっかけが欲しい人には、犬の散歩が合うこともあるみたいです。自分の波と相談して決めるのがいい気がします。
体調が急に落ちた日に頼れるサービス
急に動けなくなったときのために、選択肢を知っておくと安心です。
- ペットシッター:自宅に来て、給餌・水替え・トイレ掃除・散歩を代行
- 通院代行・送迎代行:動物看護師が病院へ連れて行ってくれるサービスも
- ペットホテル/家族・知人への一時依頼
おすすめは、緊急情報シートを1枚作っておくことです。食事量、投薬、トイレの場所、かかりつけ病院、緊急連絡先。これを冷蔵庫あたりに貼っておくだけで、誰かに頼むときの説明がぐっと楽になります。人の分とペットの分、同じ紙にまとめておくと実用的かもしれません。
結論だけ知りたい人へ|要点まとめ
- 双極性障害でもペットは飼える。診断名ではなく「続けられる仕組み」で決まる
- 確認したいのは、症状の安定・生活リズム・お金(特に医療費)・頼れる人
- 躁=衝動的に増やすリスク/うつ=世話が負担になるリスクを先に織り込む
- いきなり迎えず、預かりや知人のペットの世話で相性を試す
- うつのときの最低ラインと代わりの世話役を、元気なうちに決めておく
- 体調急変に備えて、シッター・通院代行・緊急情報シートを準備しておく
さいごに
最初の猫たちが家に来た時、ほんとのところ、最初はどう接したらいいか分からなかったくらいでした。
次に、最初の子の一匹が亡くなって、お迎えしたがったのは私ですが、それは家の中に猫がいるのが当たり前になっていたから。なんですよね。
その当たり前を喪失したから新しい子をお迎えしたわけなんですが。
でも実際に暮らしてみると、世話をしているつもりで、こちらが助けられている日のほうが多い気がします。動けない朝に、ごはんを催促されて、しかたなく起き上がる。そのくり返しに、何度も救われてきました。
希死念慮に襲われた時も「私がいなくなったらこの子たちどうなるの」って言葉が浮かんだくらいです。
だから、飼える条件が、今すぐ全部そろっていなくてもいいのかもしれません。先に少しずつ整えていけば、いつかの「いいタイミング」で、ちゃんと迎えられる気がします。
その日が来るまで、急がなくていいと思うんですよね。

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