共感と感情移入|双極性障害の私が感じた「一致しない思いやり」

「思いやり」という言葉を調べていた時、少し引っかかるものがありました。

辞書や解説を読んでいると、「共感」と「感情移入」という似た言葉が出てきたからです。

最初は同じような意味だと思っていました。
でも、読んでいくうちに、自分の中でかなり印象が違うことに気づきました。

「深い共感」という言葉には、それほど嫌な感じがしなかった。
けれど、「感情移入」という言葉には、少し苦しさというか、怖さのようなものを感じたんです。

なぜだろう、と考えていました。

目次

「かわいそう」が苦しくなる時がある

私は双極性障害持ちです。

だからなのか、人の感情や空気を必要以上に拾ってしまうことがあります。

昔ほどではないですが、今でも買い物中に急に限界が来ることがあります。

スーパーや店の中で、急にうずくまって叫びたくなるような感覚です。

もちろん実際にはやりません。
恥ずかしいし、必死で我慢します。

でも、あれは「怒っている」というより、「もう外界を遮断したい」に近い感覚でした。

光、音、人の動き、視線、会話。
周囲の情報が一気に頭の中へ流れ込んできて、自分の輪郭が薄くなるような感覚。

だから私は、「感情移入」という言葉に少し疲れてしまうのかもしれません。

感情移入というのは、相手の気持ちに自分を重ねることです。

でも、それは時々、

「自分だったら耐えられない」
「かわいそうで見ていられない」

のように、“自分の感情”が中心になってしまうことがある気がしました。

もちろん悪意ではありません。
むしろ優しさから来ている反応なんだと思います。

でも、私はそこに少しだけ違和感を覚えてしまったんです。

深い共感は「境界線」を残している

一方で、「深い共感」という言葉には、そこまで苦しさを感じませんでした。

たぶん、深い共感には「境界線」が残っているからだと思います。

あなたはあなた。
私は私。

その距離を無理に消さないまま、相手を理解しようとする感覚。

それは、「全部わかるよ」と言い切ることではなくて、

「完全には分からないけれど、理解したいと思っている」

という姿勢に近い気がします。

私は猫の介護をしている時、この感覚に近いものをよく感じます。

猫は言葉を話せません。

だから本当の意味では、苦しさも痛みも完全には分からない。

それでも、

今日は水を飲めた。
少し呼吸が穏やかだった。
昨日より長く眠れている。

そういう小さな変化を見ながら、「この子は今どう感じているんだろう」と考え続ける。

そこには、“自分の感情に飲まれる”とは少し違う静けさがあります。

私は「外界に入り込みすぎる」

昔、公文教室で丸付けのアルバイトをしていたことがあります。

病院の受付も経験しました。

どちらも一年ほどで辞めました。

特に困っていたのは、「指示が分からなくなる」ことでした。

聞いているのに、頭に入ってこない。

理解しようとしているのに、途中で情報がぼやけてしまう。

焦るほど余計に分からなくなって、頭の中だけが空回りしていく。

当時は、「自分がダメなんだ」と思っていました。

でも今振り返ると、あれは能力だけの問題ではなかった気がします。

私は昔から、外界の刺激を拾いすぎるところがあります。

人の空気。
機嫌。
物音。
視線。
緊張感。

そういうものを常に受信してしまう。

だから、人が多い場所や、気を張り続ける環境では、脳が少しずつ擦り切れていく感覚がありました。

買い物中に「叫びたい」と感じるのも、たぶん同じ種類の疲労なんだと思います。

感情を爆発させたいわけではなく、むしろ逆で、

「これ以上、外界を入れたくない」

という防衛反応。

そう考えると、私が「感情移入」に疲れやすい理由も少し分かる気がしました。

「わかる」にも種類がある

優しさには、いろんな形があります。

相手と同じように苦しむこと。
自分のことのように涙を流すこと。

それも確かに一つの思いやりなんだと思います。

でも私は最近、「境界線を保ったまま寄り添う優しさ」の方に安心するようになりました。

全部を自分に取り込まない。

それでも、相手を見ようとする。

私はたぶん、そういう静かな共感を求めているのかもしれません。

「わかる」という言葉の中にも、いろんな種類がある。

最近は、そんなことを考えています。

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この記事を書いた人

「双極性障害」「老猫介護」「ペットロス」「脳疲労」。

このブログでは、
混合状態や在宅生活の中で感じたことを、
猫たちとの暮らしと一緒に記録しています。

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