双極性障害の顔つきは、なぜ躁とうつで変わるのか
鏡を見て「今日はちょっと顔が違うな」と思う朝があります。
目に妙な力が入っている日もあれば、どこか抜け落ちたような顔をしている日もある。私は双極性障害と長く付き合っているのですが、自分の顔つきが躁とうつでかなり変わるらしい、と最初に気づいたのは家族の一言でした。
先に結論を言ってしまうと、双極性障害の人の顔つきは、躁状態とうつ状態でまるで別人のように変わることがあるそうです。そして、その変化は本人の意思ではどうにもならない、脳からのサインなのかもしれません。
つまり、近くにいる家族や友人は、顔つきの変化から「今どっちに傾いているか」をある程度読み取れる、ということなんですよね。これは早めの対応につながる、わりと大事な手がかりだと思っています。
躁状態の顔つきの特徴|「力が入りすぎている」サイン
躁や軽躁に傾いているとき、顔には独特の「過剰さ」が出る気がします。
私自身、後から写真を見て「目つきが鋭いな」と思ったことが何度かありました。家族が挙げる、躁のときの顔つきはこんな感じです。
- 目つきが鋭く、力強い。目がクリクリして見える
- 表情が豊かで、コロコロ変わる
- 口角が上がって、なんとなく笑っているように見える
- 顔が紅潮して、お酒を飲んだあとのように赤い
- 全体としてエネルギッシュで、自信に満ちている
本人は「調子がいい」「やっと本当の自分になれた」と感じていることが多いです。だからこそ厄介で、周りから見て「いつもより目に力があるな」と感じたら、少し気にかけてあげてほしいなと思います。
うつ状態の顔つきの特徴|「抜け落ちた」ような無表情
うつに傾くと、今度は逆に「力が抜けすぎる」ような顔つきになります。
- 目つきが虚ろで、輝きが消える
- 表情が乏しくなり、能面のように見える
- 口角が下がって、悲しみが刻まれたような顔になる
- 顔の筋肉がこわばって、表情が動かしにくい
私の場合、うつのときは笑おうとしても顔がうまく動かない感覚があります。「無表情」というより、表情を作る力が残っていない、という方が近いかもしれません。生気がなく、痛々しく見えるそうです。
双極性障害とうつ病の顔つきの違い
ここはよく混同されるところだと思います。
双極性障害は、活気のある顔と無表情を「両極端に繰り返す」のが特徴と言われています。一方でうつ病は、一貫して暗く、力のない印象が続くらしいです。
「人が変わったようにコロコロ変わる」のか、「ずっと沈んでいる」のか。この振れ幅が、見分ける一つのヒントになるのかもしれません。
ただ、これはあくまで傾向の話です。顔つきだけで診断はできませんし、判断は主治医に委ねるのが安心だと思います。
顔つきの変化に気づいたとき、家族ができる5つのこと
ここからが、たぶん一番知りたいところですよね。顔つきの変化に気づいたあと、どう接すればいいのか。
否定も肯定もせず、ただ受け止める
躁のときに「おかしいよ」と否定されると、私はかなり反発してしまいます。逆に「すごいね」と肯定されると、危険な行動に拍車がかかる。だから家族には、「今、調子が良さそうだね」くらいの中立な反応がありがたいです。
うつのときは、ただ話を聴いてくれるだけで十分なことが多いです。「頑張れ」より「つらかったね」「そばにいるよ」の方が、ずっと届きます。
「心配している」と私メッセージで伝える
「病院に行け」ではなく、「最近あまり寝ていないみたいで、身体の調子が心配だ」。
主語を“あなた”ではなく“私”にすると、責められている感じが薄れる気がします。これは家族からされて、地味に効いた声かけでした。
生活リズムをそっと支える
生活リズムの乱れは、再発の引き金になりやすいと言われています。とくに徹夜は、一晩でも躁に火をつけることがあるそうです。起きる時間・食べる時間・寝る時間。押し付けにならない範囲で整えてもらえると、本人もかなり楽になると思います。
見逃したくない「緊急のサイン」
これだけは書いておきたいのですが、次のようなサインが見えたら、すぐに主治医や相談窓口に連絡してほしいです。
- 「消えてしまいたい」と口にする
- 別れの言葉を告げたり、大切なものを渡そうとする
- 身の回りのものを整理し始める
迷ったら、専門家に相談するのが一番だと思います。家族だけで抱えなくていいんです。
家族自身も、無理をしない
最後に。支える側も限界を感じたら、少し距離を置いていいと思います。「少し休むね」と一言添えるだけで構わない。いい人でい続ける必要はない、と私は思っています。
結論だけ知りたい人へ|要点まとめ
- 双極性障害は、躁とうつで顔つきが別人のように変わることがある
- 躁=目に力、紅潮、自信満々/うつ=虚ろ、無表情、口角が下がる
- うつ病との違いは「振れ幅」。コロコロ変わるか、ずっと沈むか
- 家族は否定も肯定もせず、「私は心配している」と伝えるのが届きやすい
- 緊急のサインが見えたら、迷わず主治医や相談窓口へ
顔つきは、本人が一番気づきにくい場所なのかもしれません。だからこそ、近くにいる人のまなざしが手がかりになる。
「ちょっと顔が違うな」。その小さな違和感を、どうか流さずにいてもらえたらと思います。
(※躁・うつの見分けや再発予防については、別記事の「混合状態のサイン」や「ライフチャートの付け方」もあわせて読んでもらえると、もう少し立体的に分かるかもしれません。)

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