双極性障害のラピッドサイクラーとは?波が速いしんどさと気づくためにできること

つらい日

1. 双極性障害のラピッドサイクラーとは

双極性障害と付き合っていると、「自分は波が激しいほうなのか、それとも普通なのか」が分からなくなることがあります。昨日まで少し動けていたのに、今日は急に落ちる。少し持ち直したと思ったら、また崩れる。そういうことが続くと、ただ気分の浮き沈みがあるというより、もう少し別のしんどさを感じることがあります。

そのときに出てくる言葉の一つが、ラピッドサイクラーです。

ラピッドサイクラーとは、双極性障害の経過の特徴の一つで、1年のあいだに4回以上の気分エピソードを繰り返す状態を指します。ここでいう気分エピソードは、躁、軽躁、うつなど、診断上きちんと区別される波のことです。別の病名というより、「双極性障害の中でも、波が速く切り替わりやすい状態」と考えると分かりやすいと思います。双極Ⅰ型でも双極Ⅱ型でも見られることがあります。 (nimh.nih.gov)

双極性障害の混合状態や気分の波については、こちらのまとめ記事にも書いています。


2. 気分の波が激しいだけではラピッドサイクラーとは限らない

ただ、ここで難しいのは、「気分の波が激しい=ラピッドサイクラー」とは限らないことです。人間ですから、しんどい日もあれば、少し元気な日もあります。双極性障害があればなおさら、体調や睡眠、ストレスで日々の調子が揺れることはあります。でもラピッドサイクラーという言葉は、単に気分屋だとか、浮き沈みがあるという話ではなく、診断基準に関わる話です。だから自分で決めつけるより、記録を持って主治医と一緒に見ていくことが大事になります。


3. ラピッドサイクラーの何がしんどいのか

では、ラピッドサイクラーの何がしんどいのか。

一番しんどいのは、たぶん「やっと少し戻れた」と思ったところで、また落ちることです。普通の波だって十分しんどいのに、その切り替わりが速いと、生活がまるで追いつきません。予定が立てにくい。昨日できたことが今日できない。周りから見ると「この前は元気だったのに」と見えてしまう。本人は本人で、自分のことが一番信用できなくなっていきます。

仕事もそうです。家事もそうです。人間関係もそうです。少し動ける日に頑張りすぎて、あとで反動が来る。落ちた日は「この前できたのに今日は何で」と自分を責める。その繰り返しになりやすいです。

「昨日まで大丈夫だったのに、また落ちる」
こうした波を短期間で繰り返す状態は、ラピッドサイクルの特徴とも重なります。
▶︎ また落ちた時の実体験はこちら


4. 睡眠の乱れと日常生活への影響

睡眠の乱れも出やすいです。眠れなくなるほうに振れる人もいれば、逆に寝ても寝ても足りない人もいます。双極性障害では睡眠と波がかなり近いところにあるので、寝不足や昼夜逆転が続くと、それだけで危うくなることがあります。だからラピッドサイクラーという言葉を調べている人も、実際には「最近、波が速い気がする」「睡眠がおかしい」「戻ったと思ったらまた崩れる」と感じて検索しているのではないかと思います。

一時的に調子が上がることもありますが、それが安定とは限りません。
▶︎ 少し良くなってきた時の状態はこちら


5. 混合状態との違いは少しややこしい

それから、混合状態との違いも少しややこしいところです。ラピッドサイクリングは、波が一定期間の中で何度も切り替わることを指します。一方で混合状態は、躁っぽさとうつっぽさが同時に出たり、重なったりする状態です。つまり、似ているようで別物です。ただ、実際にしんどい当事者からすると、「どっちにせよつらいし分かりにくい」というのが正直なところだと思います。元気な感じがあるのに苦しい。焦るのに動けない。そういう日は、混合状態も視野に入れたほうがいいことがあります。 (nhsinform.scot)

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6. ラピッドサイクラーはなぜ起こるのか

では、ラピッドサイクラーはなぜ起こるのか。

ここは原因を一つに決めつけないほうがいいです。双極性障害そのものがそうですが、睡眠、生活リズム、ストレス、体調の変化など、いくつかの要因が重なって波が速く見えることがあります。薬の調整が必要になることもありますが、そこは必ず主治医と相談すべき部分です。自己判断で薬をやめたり減らしたりすると、かえって不安定になりやすいからです。双極性障害の治療は、薬だけでなく、心理療法や生活調整も含めて考えるものです。


7. 自分でできることは「記録すること」

自分でできることがあるとすれば、記録です。

これは地味ですが、かなり大事です。気分、睡眠時間、寝つき、途中で起きたか、活動量、薬を飲めたか。そういうものを簡単でもいいので残しておくと、あとで見返したときに「あ、このあたりから崩れてるな」が見えてきます。ラピッドサイクラーかどうかを自分で診断するためではなく、主治医に伝える材料として役に立つのです。

波は、朝の起きづらさなど日常の形で現れることもあります。
▶︎ 朝起きられない日の話はこちら

記録しても波が消えるわけではありません。でも、何も分からないまま飲み込まれるよりは、「今の自分はこういう傾向がある」と知っているほうが少しだけマシです。私はこういう記録って、セルフカウンセリングの土台だと思っています。自分の波を責めるためではなく、読むためのものです。

実際にライフチャートで自分の波を見えるようにした話は、こちらの記事にまとめています。


8. 今日しんどい人へ伝えたいこと

そして、今日しんどい人に一つだけ言うなら、波が読みにくいのはあなたのせいではない、ということです。

双極性障害のラピッドサイクラーは、本人にも読みにくいです。自分の感情なのに、自分のものじゃないみたいに感じることがあります。昨日の自分と今日の自分がつながらない感じもあると思います。だから、できない日があることまで性格の問題にしないでほしいです。

状態が悪化すると、日常生活が難しくなることもあります。
▶︎ 水すら飲めない日の話はこちら

完璧に安定しようとしなくていい、と私は思います。もちろん安定したいです。できるなら波なんて無くしたいです。でも現実には、いきなりゼロにはなりません。だからまずは、波をなくすことより、波を知ること。記録すること。前兆に少しでも気づくこと。そのほうが現実的です。


9. 一人で判断しきれないときは主治医につなぐ

そして、一人で判断しきれないときは、ちゃんと主治医につないでください。強い不眠、極端な落ち込み、衝動性、自分を傷つけたくなる気持ちが出てきたときは、我慢比べをするところではありません。相談するために通院しているのですから、そこは頼っていいと思います。公的にも、双極性障害は薬物療法や心理療法で管理していく病気とされています。 (mayoclinic.org)


10. ラピッドサイクラーで大切なのは「波をなくす」より「波に気づく」こと

ラピッドサイクラーで大事なのは、たぶん「波をなくす」より「波に気づく」ことです。

それだけでも十分しんどい作業です。
でも、気づける回数が増えるだけで、前より少しだけ自分を守りやすくなります。

それが、今日をどうにかやり過ごすための、地味だけど確かな一歩なのだと思います。

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小さな波が続くしんどさについては、こちらにも書いています。

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