導入文:大事な話ほど、思い出せない
「あれ…何を言われたんだっけ」
就労継続支援B型事業所の見学に行った日。
往復4時間かけて、なんとか辿り着いて、説明もちゃんと聞いたはずなのに。
帰り道、残っていたのは
「疲れた」と「不安」だけでした。
内容は、ほとんど思い出せない。
市役所の手続きも同じです。
真剣に聞いているはずなのに、後から思い返すと、会話がごっそり抜け落ちている。
双極性障害で生活していると、
こういう「記憶が飛ぶ感覚」に、何度も出会います。
でも、ある方法を取り入れてから、少しだけ楽になりました。
それが、
ボイスレコーダーと文字起こしです。
1 双極性障害と「記憶のズレ」
1-1 頑張っているのに覚えられない
双極性障害は、気分の波だけでなく、
思考や記憶の働きにも影響が出ることがあります。
その場では理解しているつもりでも、
後から振り返ると、うまく思い出せない。
これは「怠けている」わけではなくて、
単純に脳の処理が追いついていない状態です。
1-2 躁とうつで変わる記憶の感覚
躁のときは、思考が速すぎて情報が流れていく。
うつのときは、そもそも情報を受け取る余力がない。
どちらにしても、
「正確に覚えておく」ということが難しくなります。
だから私は、
自分の頭だけに頼るのをやめました。
1-3 外に記録を預けるという考え方
覚えておけないなら、
外に残しておけばいい。
そう思えるようになってから、少し楽になりました。
2 話し合いの場面で記憶が飛ぶときの対策
2-1 B型事業所や市役所で起きる「真っ白」
B型事業所の見学や、市役所での説明は、
どうしても情報量が多くなります。
しかも、
「ちゃんと理解しなきゃ」
「失敗できない」
そう思えば思うほど、頭は固まっていく。
結果、帰宅後にはほとんど思い出せない。
これは私だけじゃないと思います。
2-2 なぜ大事な場面ほど覚えられないのか
理由はシンプルで、
- 緊張
- 情報量の多さ
- 疲労
これが一気に重なるからです。
特に、往復4時間の移動は想像以上に負担でした。
体も頭も限界の状態で、
さらに説明を受ける。
覚えられなくて当然だったな、と後から思いました。
2-3 ボイスレコーダーが安心をくれる
そこで私は、
ボイスレコーダーを使うようにしました。
「すみません、後で確認したいので録音してもいいですか」
そう一言添えるだけで、
かなり安心感が違います。
その場で全部理解できなくてもいい。
後から聞き返せばいい。
それだけで、気持ちに余裕が生まれました。
2-4 文字起こしで「理解できる状態」を作る
さらに、録音した音声を文字起こしすると、
- 何を言われたか
- 何を決めたか
- 何が分からなかったか
が整理されます。
その場では曖昧だった内容も、
あとからゆっくり理解できます。
3 ボイスレコーダーのメリット
3-1 声には状態がそのまま残る
音声には、言葉だけでなく、
- 話す速さ
- 間
- 声のトーン
が残ります。
あとから聞くと、
「この時ちょっと無理してるな」
と気づけることもあります。
3-2 何もできない日をゼロにしない
うつが強い日は、本当に何もできません。
でも、
「今日はしんどい」と一言録音できたら、
それはちゃんと記録です。
私はよく、猫様を撫でながら
「今日も猫に生かされた」とだけ残しています。
それで十分です。
3-3 誰かに伝えるときの助けになる
診察のとき、うまく話せないことってありますよね。
そんな時、記録があると、
自分の状態を伝えやすくなります。
4 文字起こしで見える「思考のクセ」
4-1 自分の言葉を客観的に見る
文字にすると、
少し距離を取って自分を見られます。
「あ、この時はかなりしんどかったな」
と、冷静に振り返れることがあります。
4-2 思考の偏りに気づく
「どうせ」「無理」
が増えているとき。
逆に、
「絶対できる」ばかりのとき。
どちらも、自分の状態を知るヒントになります。
4-3 ライフチャートと合わせる
私は「毎日まめ」というアプリで、
気分をグラフにしています。
そこに音声や文字起こしを合わせると、
「なぜそうなったか」が見えてきます。
5 続けるためのコツ
5-1 1日1分でいい
長く話す必要はありません。
- 気分
- 体調
- 一言
これだけでOKです。
5-2 習慣にくっつける
寝る前や、スマホを見るタイミングで録音。
「ついで」にやると続きます。
5-3 できない日も大事
記録できなかった日は、
「それだけしんどかった」というサインです。
空白も含めて、自分のデータです。
6 まとめ|記録は未来の自分を助ける
ボイスレコーダーと文字起こしは、
特別なことではありません。
ただ、
「忘れてしまう自分」を責めないための方法です。
大事な話し合いで内容が飛んでしまうときも、
日常で気力がなくなるときも。
外に少しだけ記録を残しておく。
それだけで、
自分を助けられる場面が増えました。
今日は1回、録音ボタンを押すだけで十分です。
その一言が、
未来の自分を助けてくれるかもしれません。
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